1. 早期経営改善計画とは?制度の仕組みと活用メリット
早期経営改善計画って何の役に立つの?
専門家と一緒に、会社の経営課題や今後のアクションプランを作成し、
それをモニタリングすることで経営を改善することができるんだ。
こんな方におすすめ
早期経営改善計画とは、中小企業や個人事業主が経営状況を見直し、財務基盤を強化するための事業計画のことをいいます。特に、資金繰りの管理や採算性の向上を目指す企業に適しています。中小企業庁の認定を受けた経営革新等支援機関が、計画づくりをサポートします。
中小企業庁のマニュアルでは、下記のような方におすすめとされています。
今のところ返済条件の変更等は必要ないが、
□ ここのところ資金繰りが不安定になっている
□ 原因がわからないが売上げが減少している
□ 自社の経営状況を客観的に把握したい
□ 自社のガバナンス体制の整備状況を確認・整備したい
□ 専門家から経営に関するアドバイスが欲しい
□ 経営改善の取り組みをフォローアップしてほしい
出典:【金融機関を除く支援機関用】早期経営改善計画策定支援 マニュアル・FAQ6.2 ※2024年4月1日改定
早期経営改善計画は、通常の「経営改善計画(通称:405事業)」と異なり、返済条件の変更や借入れを前提としません。そのため、現在の財務状況を、より早期に健全な形へ改善することができます。
支援制度の特徴
早期経営改善計画の作成支援を受けるには、費用がかかります。そこで、国は費用の3分の2を補助します。
経営者の方は、作成した計画をもとに自社の状況を客観的に把握できます。さら計画策定から1年間、外部専門家(認定経営革新等支援機関)の伴走支援で進捗を確認できます。
このように、早期経営改善計画は、事業者自身で基本的な計画策定や管理のPDCAサイクルを構築できるようになることを目的とした制度です。
活用メリット
早期経営改善計画は、経営の現状を正しく把握し、今後1〜5年の短・中長期の成長戦略を立てるために役立ちます。
主に下記のようなメリットが得られます。
- 費用の補助: 計画策定費用の2/3(最大15万円)および伴走支援費用(最大10万円)が補助されます。
- 経営の可視化: 財務データの整理を通じて、課題を明確にできます。
- 専門家の支援: 認定支援機関のアドバイスを受けながら計画を立てるため、実践的な改善が可能です。
- 金融機関との関係強化: 計画を作成・提出することで、金融機関からの信頼と関係性が向上します。
- 日本政策金融公庫のコロナ資本性劣後ローン: 「コロナ資本性劣後ローン」の申込に必要な事業計画として早期経営改善計画を利用可能です。
費用の残りの3分の1は自己負担になるにゃ?
条件があるけど、信用保証協会が残りの3分の1を
補助してくれるケースもあるよ。
2. 早期経営改善計画の申請方法と必要書類を徹底解説
申請の流れ
早期経営改善計画の申請は、認定支援機関とともに行います。以下のステップで進めます。
1. 事前相談 最寄りの商工会議所や認定支援機関に相談し、利用条件や計画策定の流れを確認します。
2. 利用申請書の提出 必要書類を用意し、中小企業活性化協議会に申請します。金融機関から事前相談書を取得し、申請書と共に提出します。
3. 計画策定 認定支援機関と協力して、資金繰り計画やアクションプランを作成します。
4. 計画の提出 作成した計画を金融機関に提出し、受取書を受領します。
5. 支払申請 中小企業活性化協議会に支払申請書を提出し、補助金の半分の支給を受けます。
6. モニタリング 早期経営改善計画策定後1年を経過した最初の決算時までの間に、計画のモニタリング支援(期中は任意。1年後の決算期は必須)を受け、中小企業活性化協議会に報告します。このあとで、残りの補助金の支給を受けることができます。
申込時の必要書類
下記の書類を揃えることで、スムーズな申請が可能です。
- 早期経営改善計画策定支援事業利用申請書
- 申請者の概要書
- 認定支援機関の業務別の見積書
- 履歴事項全部証明書(※個人事業主の場合は開業届又は直近の確定申告書の写し)
- 直近3年分の決算書(※個人事業主の場合は確定申告書の写し)
- 金融機関の事前相談書
早期経営改善計画のサンプル
どんな計画なのか?具体的なイメージをするために下記のサンプルをご覧いただくとわかりやすいです。これらのサンプルはあくまでも参考様式ですので、同等の内容が記載されていればOKです。
早期経営改善計画のサンプル1【中小企業庁の早期経営改善計画 ひな形(3年計画用)】
早期経営改善計画のサンプル2【中小企業活性化協議会の収益力改善計画】
猫の手じゃムリ。専門家に作成を全部やってほしいにゃ
専門家まかせじゃなくて、自分も計画づくりに関わることで、将来的に
計画と現実のギャップに気づくことができるんだ
3. 早期経営改善計画の活用事例
早期経営改善計画は、多くの中小企業が活用し、経営改善に成功しています。具体的な事例を紹介します。
事例1:飲食店の収益力改善
ある喫茶店(売上3,000万円、従業員3名)では、近隣に競合他社が台頭し、売上が減少していました。顧問税理士が試算表作成時に変化を察知し、早期経営改善計画の活用を打診しました。
中小企業診断士とともに、経営者と現状分析・課題抽出をおこない、ターゲットを高齢者に絞り、営業時間の変更、喫茶・軽食メニューの充実を図りました。さらに税理士が作成した月次情報をもとにPDCAサイクルを構築しました。
その結果として、半年後の売上がなんと前年比150%となりました!想定外にモーニング時間帯の中年層も増え、その中年層が土日のランチも利用していることがわかり、さらに売上拡大に向けての土日限定のランチメニューの開発も進めることになりました。
出典:中小企業庁「経営改善計画策定支援事業(405事業・ポスコロ事業)の支援の想定事例集」
事例2:製造業の事業承継に活用
半導体機械製造業の株式会社Cさんは、黒字を維持しているものの業績は下降傾向にありました。また役員である常務取締役へ親族外承継を予定していました。
そこで、営業、技術、購買の3つの部門別にローカルベンチマークと早期経営改善計画のアクションプランの検討を社内で行うことにしました。
全社会議の中で発表会を企画し、部門別に検討した結果を発表。最終的に、会社としての早期経営改善計画書として取りまとめました。
人材育成のためのトレーニングの実施や、技術部門と営業部門が連携による新商品開発、他の技術分野を得意とした即戦力の採用と受注の獲得へ取り組むことになりました。
経営者の方は「会社として何を優先的 に取り組むべきか決められたことで、経営層、従業員の意識を一つにまとめられたことが良かった。」とメリットを述べています。
出典:中小企業庁「ローカルベンチマークを活用した早期経営改善計画の作成」
中小企業庁の「ローカルベンチマークを活用した早期経営改善計画の作成」には、計画作成のサンプルなども掲載しながら事例を紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
4. まとめ(早期経営改善計画の成功のポイント)
早期経営改善計画を成功させるポイントを3つお伝えします。
- 具体的な課題を明確化する:資金繰りや売上低迷の要因を特定することが重要です。
- 実行可能な改善策を設定する:無理のない範囲で実施できる計画を作成します。
- 伴走支援を積極的に活用する:専門家のアドバイスを受けながら、継続的に経営を見直します。
早期経営改善計画は、経営の見直しと成長のための強力なツールです。ぜひ活用し、持続可能な経営を目指しましょう。
ゼノンクリエイツ株式会社は、認定経営革新等支援機関として早期経営改善計画の作成をサポートしています!お気軽にご相談ください。