この動画を見ればわかること
この動画では、省力化投資補助金(カタログ注文型)について解説します。
採択率が比較的高く、「狙い目」の補助金ですが、不採択になるケースもあります。
本動画では、制度の基本(補助率・上限額・申請の流れ)を整理したうえで、何が採択を分けるのかをベテラン中小企業診断士の観点で解説します。
この動画でわかること
・採択されやすい事業計画の作り方
・補助率・上限額・申請の流れ
・計画目標を達成しないとペナルティはある?
動画の文字起こしテキスト
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みなさんこんにちは、補助金&ビジネスモデル研究所です。
今回は、省力化投資補助金(カタログ注文型)について解説します。みなさんが、いちばん知りたいところ「何が採択を分けるのか?」についてお伝えしていきたいと思います。
この省力化投資補助金のカタログ注文型はほかの補助金と比べて、採択率は高めですが、もちろん不採択になるケースがあります。しかし、ポイントを押さえれば採択確度は上げられます。
今日は、制度の全体像を押さえたうえで、
“採択を分けるポイント”を解説します。
最後に、申請書で特に差がつく「チェック項目」もまとめますので、ぜひ最後までご覧ください。
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まず制度の概要です。
省力化投資補助金(カタログ注文型)は、ざっくり言うと、
人手不足に悩む中小企業が、IoTやロボットなどの省力化製品を導入して、生産性を上げ、賃上げにつなげるための補助金です。
最大の特徴は、“カタログに登録された製品だけ”が対象ということ。
つまり、自分の導入したい設備を申請する補助金ではありません。
カタログに掲載されている製品を選んで、販売事業者と一緒に申請します。
そして重要なのが、これは新規事業の補助金ではなく、
あくまで既存業務の省力化がテーマです。
ここを読み違えると、計画の方向性がズレて採択されにくくなります。
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次に、補助率と補助上限額です。補助率は2分の1。
そして上限額は、従業員規模で変わります。
従業員が5人以下なら上限200万円。
6〜20人なら上限500万円。
21人以上なら上限1,000万円。
また、もし「大幅な賃上げ」をする場合、
上限額が引き上がる仕組みがあります。
5人以下なら300万円、
6〜20人なら750万円、
21人以上なら1,500万円まで上がります。
ただし、ここは後半で詳しく言いますが、
賃上げを“書く”のは簡単なんですけど、
達成できないと差額を返納しなければなりません。
上限が上がるからといって、無理な計画にしないようにしてください。
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では採択率はどうか。
2024年7月から2025年10月までに、申請者の約67%が採択されています。
全体の半分くらいは50万〜150万円の設備を導入するのに活用されています。従業員5名以下の方の申請が最もおおく、個人事業主の方も採択されています。
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全体の流れを先に整理します。
まず事前準備として、
カタログから製品を選び、販売事業者も選びます。
次に、その販売事業者と一緒に事業計画を作る。
この補助金は販売事業者からの招待をもって、専用フォームからの申請が可能になります。IT導入補助金と同様の形式ですね。
その後、電子申請で交付申請。
審査を経て、採択通知が来て、交付決定。
そして交付決定後に、製品を導入して、実績報告。
最後に、効果報告が3年間続きます。
ここで強調したいのは、
採択されたら終わりじゃなくて、採択後の報告まで含めて“補助金”だという点です。
この手間を甘く見ていると、後で後悔することになります。
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ここからが本題。事業計画です。
まず最初に問われるのが、人手不足であることの確認。
これは主観的な印象ではなく、客観的データとして示す必要があります。
選択肢は大きく4つ。
1つだけ選びます。
① 直近の従業員の平均残業時間が30時間を超えている。
② 整理解雇以外の離職・退職で、従業員が前年比5%以上減少している。
③ 採用活動で求人掲載をしたが、充足に至らなかった。
④ その他、省力化を推し進める必要に迫られている。
ここでポイントは、
①〜③は比較的“客観化”しやすいということ。
数字や証拠が作りやすい。
逆に④は、自由に書けるようで一番難しいです。
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④については、公募要領にも、
例外的扱いで、より厳格に審査する可能性がある、と書かれています。
追加書類を求められる可能性もある。
そして、採択結果の通知が大幅に遅れる可能性もある。
つまり④は、
「どれにも当てはまらないから仕方なく」選ぶと危険です。
選ぶなら、審査側が納得するだけの“客観的な説明”を用意する必要があります。
なので実務上は、極力、①〜③のどれかで整理して、
④は“最終手段”と考えるのがよいでしょう。
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次に、省力化を進める計画の中身です。
ここで必ず説明しろ、と明記されているのが3点です。
1つ目、導入製品の使用方法。
——つまり、その製品を、どの業務で、どう使うのか。
2つ目、導入により期待される省力化効果。
——省力化が得られる機能や性能を根拠に説明する。
3つ目、省力化で抽出できる時間・人員の使途。
——浮いた時間を、何に振り向けて付加価値を増やすのか。
ここが採択を分けます。
よくある失敗は、
「便利になります」「効率化します」で止まってしまうこと。
審査側が見たいのは、
“どの業務がどれだけ減り、その分、何を増やすのか”です。
工数削減だけだと弱い。
工数削減した結果、
例えば接客品質を上げる、提案業務を増やす、商品開発に時間を回す、
こういった付加価値の増加までつなげると強くなります。
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そして、この補助金の“背骨”が、労働生産性です。
要点だけ言います。
労働生産性は、
付加価値額 ÷ 従業員数。
付加価値額は、営業利益、人件費、減価償却費の合計として整理されます。
そして目標として、
補助事業終了後3年間で、毎年、
労働生産性を年平均3%以上向上させる計画が求められます。
ここで採択を分けるのは、
“3%を書いたかどうか”ではなく、
数字が現実的で、かつ算出根拠が計画の中身の文章と整合しているかです。
例えば、省力化で削減できる時間が月20時間と言っているのに、
売上や付加価値の増加が過大だったり、逆に小さすぎたり。
そういう計画は、審査側にはすぐ分かります。
なので、
省力化→工数削減→生産性の上げ幅が、
一つのストーリーとして筋が通っているか。
ここが勝負です。
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公募要領に記載されている審査の着眼点を、言い換えるとこうです。
省力化効果が合理的で、
高い労働生産性向上が期待できるか。
そして、単なる工数削減ではなく、
新しい取組や高付加価値業務へのシフトなど、
付加価値が増える構造になっているか。
加えて、賃上げに積極的か、または予定があるか。
特に、事業場内最低賃金を地域別最低賃金より一定水準まで上げる、
などの取組も考慮される——とされています。
つまり、
「機械を入れます」だけでは弱くて、
入れた後の“経営の変化”まで説明できるかが鍵です。
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大幅賃上げの特例について解説します。
まず条件は2つ、両方必要です。
申請時と比べて、
(a)事業場(じょう)内最低賃金を45円以上引き上げること。
そして(b)給与支給総額を6%以上増加させること。
この2つを、補助事業実施期間の終了時点で達成する見込みの事業計画を作ると、
補助上限額が、表のカッコ内の金額まで上がります。
ただし、申請時点で、賃金引き上げ計画を従業員に表明していることが必要です。
「計画はあるけど社内には言ってません」はダメ、ということですね。
次に、ここが落とし穴なんですが、判定に使う値です。
給与支給総額と事業場内最低賃金は、どちらも、実績報告時の直近月の値を使います。
そして比較は、交付申請時の直近月と、実績報告で出した直近月を比べて計算します。
ここで用語を正確に押さえます。
「給与支給総額」というのは、全従業員、非常勤も含めて支払った給与なんですが、
所定内給与のみです。賞与、福利厚生費、法定福利費、退職金は含みません。
さらに、役員報酬なども含まないと明記されています。
なお、従業員数が減少したケースなど、もし「給与支給総額」を使うのが適切ではない特別事情がある場合、給与支給総額の増加率の代わりに、一人当たり賃金の増加率を使うことが認められています。
最後に、未達の扱いです。
賃上げ目標を達成できなかった場合は、補助額が減額されます。
具体的には、上限引き上げを行わなかった場合と同じ補助額になるように調整されます。
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最後に、返還について。
よくある質問が、
「労働生産性の目標が未達だと返還ですか?」というものです。
答えとしては、基本的には返還は不要です。しかし、意図的に製品を使わず放置していた、
といった場合は返還となる可能性があります。
つまり、当然ですが、採択後も、
導入した製品を使い、効果を出す努力を継続することが必要となります。
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ではまとめです。
省力化補助金のカタログ型では、何が採択を分けるのか。私は4点だと思っています。
1つ目、申請不備をなくす。
要件を読み違えない。添付や入力ミスをしない。
2つ目、数字の整合性。
人手不足の根拠、削減工数、付加価値の増え方、生産性の上げ幅。
全部が矛盾なくつながっていること。
3つ目、労働生産性の上げ幅が“現実的に強い”。
弱すぎてもダメ、盛りすぎてもダメ。
審査側が納得するストーリーになっていること。
4つ目、賃上げの上げ幅。
補助金の目的としては賃上げが明確に記載されています。
賃上げをどれくらい目標としているかがポイントになります。
ただし、上限引上げを狙うなら、達成できる計画で。

